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名古屋地方裁判所 昭和44年(行ウ)49号 判決 1969年10月30日

愛知県尾西市起字下町二百二十二番地

原告

加藤清六

名古屋市中区三の丸三丁目三番地

被告

名古屋国税局長

太田満男

右指定代理人

中村盛雄

野々村昭二

井原光雄

石田柾夫

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実と理由

原告は被告が昭和四十四年六月二十四日付で原告に対してなした昭和四十年度分所得税及び無申告加算税に関する審査決定を取消す。訴訟費用は被告の負担とする。との判決を求め、請求の原因として(一)一宮税務署長は原告に対し昭和四十三年十月二十一日付「一宮所第一、九一四号」「昭和四十年所得税の決定及加算税の賦課決定通知をもつて課税処分をした。そしてそれによると確定納税額金六十八万五千二百円、無申告加算税金六万八千五百円であつた。(二)原告は右処分につき不服で昭和四十三年十一月二十一日同日付「異議申立書」をもつて一宮税務署長に対し、異議の申立をした。(三)一宮税務署長は原告に対し昭和四十四年二月十八日付「一宮所第一二八号」「昭和四十年分所得税の異議申立決定書」をもつて原処分一部取消の決定処分をした。そしてそれによると確定納税額金四十二万二千九百円、無申告加算税金四万二千二百円に減額された。(四)原告は右異議申立決定処分につきなお不服で昭和四十四年三月十八日同日付「審査請求書」をもつて被告に対し審査請求をした。(五)被告は原告に対し昭和四十四年六月二十四日付「裁決書」をもつて原処分一部取消の審査決定をした。そしてそれによると確定納税額金十一万九千円、無申告加算税金一万千九百円に減額された。(六)右裁決書は郵送され昭和四十四年六月二十八日原告はこれを受領した。(七)しかし乍ら右審査決定の結果は租税債務が発生も確定もしていないのに拘らず漫然昭和四十年分の所得として不当に譲渡所得を見積つた上所得税額が算出されており且つ無申告加算税が賦課されているのであるからこの点違法であり当然取消さるべきものと信ずる。よつて右審査決定の取消を求める。と述べた。

被告は主文と同旨の判決を求め、答弁として請求の原因たる事実(一)乃至(六)の各点を認め、(七)の点を争い、被告の主張として、原告は被告のなした昭和四十四年六月二十四日付原処分一部取消の裁決について取消を求めているが、その理由は裁決固有の瑕疵を争うものではなく、畢竟原処分の違法を理由とするものであると思料せられる。ところで行政事件訴訟法第十条第二項によると処分の取消の訴とその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消の訴とを提起することができる場合には裁決の取消の訴においては処分の違法を理由として取消を求めることができないので、被告に対する本件処分の取消の訴は主張自体理由がないから速に棄却せらるべきである。と述べた。

案ずると請求の原因たる事実(一)乃至(六)の点は当事者間に争がなく、被告の主張として述べるところは理由があり、原告の本訴請求は失当であることが明らかであるのでこれを棄却し、民事訴訟法第八十九条により主文のように判決する。

(判事 小沢三朗)

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